先日の新聞記事で庄野潤三さんが亡くなられたことを知りました。ドラマチックなところはあまりない淡々とした筆致で描く日常の家族の風景なのですが、誠実さと暖かさが伝わってくるなかにも、きらりと光るもの、深いものが感じられる作品を書いた作家だったように思います。「夕べの雲」や「ガンビア滞在記」など思い出の作品がたくさんあります。

2ヶ月前の7月には、やはり若い頃好きでその評論をいろいろ読んだ平岡正明さんが亡くなっています。なんとも型破りで、過激で、そのいいたい放題風の評論にとても刺激を受けました。「JAZZ宣言」のなかの「どんな感情をもつことでも、感情をもつことは、つねに、絶対的に、ただしい。ジャズがわれわれによびさますものは、感情をもつことの猛々しさとすさまじさである。あらゆる感情が正当である。」という一節今でも覚えています。他にも「JAZZより他に神はなし」「韃靼人宣言」など。
お二人のご冥福をお祈りいたします。